間接照明の耐用年数はどれくらい?寿命を延ばすメンテナンス方法は?


リビングや寝室、玄関ホールなどに柔らかな光を広げ、空間をおしゃれでリラックスできる雰囲気に演出してくれる「間接照明」。新築やリフォームの際に取り入れる方が増えている人気の照明手法です。しかし、壁や天井に埋め込まれることが多い間接照明は、一度設置すると簡単に交換できないため、「どのくらい長く使えるのだろう?」「故障したらどうすればいいの?」といった寿命やメンテナンスに関する疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、間接照明の「耐用年数(寿命)」を正しく理解するためのポイントから、その美しい光を一日でも長く保つためのメンテナンス方法、そして寿命が来た際の交換や費用について、詳しく解説していきます。

間接照明の「寿命」は3つのパーツで考える

間接照明の寿命を考えるとき、多くの方は光源である「LEDが約10年もつ」という点を思い浮かべるかもしれません。しかし、照明器具全体としては、それぞれ寿命の異なる複数のパーツで構成されています。間接照明の耐用年数を正しく理解するためには、主に「光源」「電源ユニット」「器具本体」の3つの寿命を分けて考える必要があります。

光源(LEDチップ)の寿命:約40,000時間

現在、間接照明の光源として主流であるLEDチップそのものの寿命は非常に長く、一般的に約40,000時間と言われています。これは、1日に10時間点灯したとしても、10年以上にわたって使用できる計算になります。ただし、注意したいのは、LEDにおける「寿命」の定義です。電球のように突然プツンと切れて全く点灯しなくなるのではなく、徐々に明るさが低下していき、初期の明るさに対して70%まで低下した時点を「寿命」と定義しています(光束維持率70%)。そのため、10年を過ぎても点灯はしますが、以前より暗く感じられるようになります。

電源ユニット(ドライバー)の寿命:約8~10年

実は、LED照明器具の故障原因として最も多いのが、光源であるLEDチップよりも、それに電気を供給する「電源ユニット(ドライバー、安定器とも呼ばれる)」の寿命です。電源ユニットは、家庭用の交流100Vの電気を、LEDが使用する直流の低電圧に変換するための重要な電子部品ですが、熱や湿気に弱く、LEDチップよりも寿命が短い傾向にあります。一般的に、この電源ユニットの寿命が約8年~10年とされており、これが実質的な照明器具全体の寿命を決定づける「ウィークポイント」となるケースが非常に多いのです。

照明器具本体の寿命:10年~15年

光源や電源ユニットを収める照明器具本体にも寿命があります。アルミや鋼板などで作られた器具本体は非常に丈夫ですが、プラスチック製のカバーや部品は、長年の使用による熱や紫外線で黄ばんだり、脆くなったりすることがあります。また、内部の配線やソケット部分も経年劣化します。一般社団法人日本照明工業会では、照明器具の耐用年数の目安を10年~15年としており、設置から10年を経過したら、専門家による点検を受けることを推奨しています。外観に問題がなくても、内部の劣化が進行している可能性があるためです。

間接照明の寿命を延ばすためのメンテナンス方法

LED間接照明の寿命は、主に電源ユニットによって決まることが多いですが、日々の使い方や簡単なメンテナンスを心がけることで、その性能を長く保ち、快適な光環境を維持することができます。

定期的な清掃でホコリを除去する

間接照明の寿命を延ばす上で、最も簡単かつ効果的なメンテナンスが定期的な清掃です。天井のコーブ(折り上げ天井)やコーニス(壁面上部)、家具の裏側といった間接照明が設置されやすい場所は、ホコリが溜まりやすい傾向にあります。このホコリが照明器具や光源に積もると、光が遮られて明るさが低下するだけでなく、放熱を妨げる原因にもなります。LEDや電源ユニットは熱に弱く、高温状態が続くと寿命が大幅に縮んでしまいます。安全のため必ず電源を切り、柔らかい布やハタキなどで、最低でも年に1~2回はホコリを優しく取り除きましょう。この一手間が、故障リスクの低減に繋がります。

適切な使用環境を保つ

LED照明、特にその心臓部である電源ユニットは、熱と湿気に弱いという特性を持っています。そのため、照明器具が密閉された狭い空間に設置されている場合は、熱がこもらないように通気性を確保することが重要です。照明器具の近くにカーテンや家具など、熱の放出を妨げるものを置かないように注意しましょう。また、キッチンや洗面所など、湿気が多い場所に間接照明を設置する場合は、必ず防湿・防雨型の器具を選ぶ必要があります。湿気は、電子部品の腐食やショート、トラッキング火災といった深刻なトラブルの原因となります。適切な場所に適した性能の器具を選ぶことが、安全に長く使用するための大前提です。

長時間点灯を避ける・調光機能を活用する

LED光源の寿命は約40,000時間と非常に長いですが、これはあくまで点灯時間の合計です。当然ながら、必要以上に長時間点灯させ続ければ、その分だけ寿命は早く尽きてしまいます。外出時や就寝時にはこまめに消灯する習慣をつけ、無駄な点灯時間を減らすことが、製品を長持ちさせる基本的なコツです。さらに、もしお使いの間接照明に調光機能(明るさを調整する機能)が付いている場合は、積極的に活用しましょう。常に100%の明るさで点灯させるのではなく、普段は70%~80%程度の明るさに設定して使用することで、LEDや電源ユニットへの負荷が軽減され、発熱も抑えられます。これにより、消費電力を節約できるだけでなく、結果として照明器具全体の寿命を延ばす効果も期待できます。

まとめ

お部屋の雰囲気を豊かに演出してくれる間接照明。その寿命は、光源となるLEDチップ(約10年以上)よりも、電気を供給する電源ユニット(約8~10年)の寿命に左右されることが一般的です。この大切な照明を一日でも長く、美しく保つためには、定期的にホコリを取り除く清掃や、熱・湿気がこもらないようにするといった日頃のメンテナンスが欠かせません。万が一、寿命を迎えて故障してしまった場合は、部分的な修理は難しいため、基本的には「照明器具全体の交換」となります。その際は、必ず専門の電気工事業者に相談し、複数の業者から見積もりを取って、納得のいく形で新しい光の環境を再構築しましょう。日々の少しの心掛けと、適切な時期のメンテナンス・交換が、快適で上質な空間を長く楽しむための秘訣です。